無色になったら何になる?

新卒1ヵ月でブラック企業を飛び出したら人生ハードモードだった件

おめでとう!キミは無職になった。

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「インセンティブのために他人に迷惑をかけられるか!」
「だったら会社を辞めてやる!」

新卒入社した会社を退職して、3ヶ月が過ぎた。
以前は新宿まで電車一本で行ける好立地で、首都生活を満喫していた私であったが、
もちろん早々に社宅を追い出されてしまう。

私は都会の喧騒から逃げるようにして、23区の東側へと移り住んだ。
江戸川を挟めば千葉県がすぐそこにあり「ここは本当に東京なのか」と疑うほど長閑な新天地は、どこか世間よりも時間の流れがゆっくりと感じられる。
駅周辺にはパチンコ屋くらいしか賑やかな店がなく、住人の年齢層も高い。
完全にじじばばの世界であった。

新居は人生初のシェアハウスだ。
住居費を抑えられるだけでなく、対人関係の交流が薄くなる点もカバーできるので一石二鳥である。
無職やニートは独りでいると精神を病んでしまいがちなので、同じ境遇の方にはぜひ共同生活のできる環境をオススメしたい。
寝床が個室だったらプライベートも保てるぞ!


さて今回のお話は、威勢よく辞めたはいいものの転職活動がうまく進展せず、
あまりの虚無感から自室の天井を眺める日々が続いていた頃に始まる。

 

四畳半からの脱出

そんなニートを見かねてか、故郷の父親から一本の連絡が入る……。

 

『我が家のルーツを探しに行ったらどうか』

 

私の祖先は、明治末期に石川県から北海道へと移住したのだが、どうやら当時の移住者名簿が見つかったらしい。
そこに記された旧住所を頼りに探ってみてはどうかとのことだ。

父は家業で忙しく、地元を離れることができない。
無職で暇に明け暮れている私にはうってつけの仕事である。


せっかく外に出る理由ができたのだ。
喜々として石川県へ向かう夜行バスの切符を購入した。

領収書の宛名はもちろん父親である。
無職に旅の資金など、ない。


出発直前に旅支度を整え、私はシェアハウスの1階へと降りる。
誰にも何も言わず飛び出すのもどうかと思ったので、共有スペースに置かれているコミュニケーションノートに書き置きをしておく。

『北陸へ旅に出ます。探さないでください』

さあ、一人旅の始まりだ。


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突然だが、HTBの大人気深夜番組「水曜どうでしょう」を見たことはあるだろうか?

ある人なら分かると思うのだが、サイコロの旅という出た目の場所に行かなければいけない企画で、出演する大泉洋たちは東京から九州までバス移動を強いられたりする。
中でもボス級のハズレとして登場する、新宿ー博多のおよそ1,100kmを14時間半かけて運行する「はかた号」は、私たちの憧れであり、そして乗りたくないものの1つだ。

彼らは放送時間状でものの数分バスに乗っているが、実際の負担は計り知れない。


……何を言いたいかというと、
東京から石川は夜行バスで8時間といったところなのだが、
席についてから数分も経たずして

「なぜバスに乗っているのだろう…」と後悔した。

夜行バスは人間の乗るものではない。
お金持ちのみんなは新幹線を使った方がいい。切実に。


ちなみに北海道であれば札幌ー根室を結ぶ「オーロラ号」が、今回のバスと同程度の乗車時間だ。
あっちもあっちで、人間の乗るものじゃない。

 

先祖について

忘れないうちに、ご先祖様について記しておく。
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1代目:清八(生まれ不明。おそらく1800年初頭の文政~天保あたり)
2代目:清八(嘉永2年生まれ)
3代目:市左エ門(明治14年生まれ)
 ※以降4代目は曽祖父。
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もっと前まで見つかっていないのは残念だが、有名なお家柄でもないのでそこは諦めておこう。
清八がなぜ二人いるのかは分からないが、名前を継いだと仮定しておく。
3代目、市左エ門が25~6歳の頃に北海道へ移住したことが分かっているので、年齢的に父親である清八も一緒に入植したはずなのだが、彼の痕跡は全く見つからない。

デジカメやスマホでバシバシ記録を残せる現代人の感覚からすれば「写真の1枚くらい…」と思ってしまうところだが、市左エ門ですら遺影写真だけが残っていた程度だ。


試しに石川県関係人物文献検索などインターネットの力を用いて
”(名字)+清八”などと調べてみたものの、引っかかりもせず。

国会図書館で気になるワードをもとに文献を漁ってみたが、過去の居住地について少し知れた以外は成果がない。
あそこは本を気軽に手に取って読む場所ではないため、
石川関連の書籍コーナーがあるわけでもない。

とにかく調べるためにも、行ってみるしかなさそうだ。


今まで自分の先祖がどんな人物であったかなど、気にも留めなかったので、
祖父が存命だった頃に話を聞くこともなかった。
元気なうちは知りたいと思わなくても、いざとなってから
「聞いておけばよかった…」と後悔してしまうのは何とも悲しいことだろう。


ただ、これまでは先祖の写真なんてまともに見たこともなかったので、お盆に実家へ帰省した際に仏間を見渡して

「あなたが市左エ門か!!」と

先祖の遺影を眺めながら、歴史の教科書で新しい偉人の顔を見たときのような感動を味わえたのは、ある意味貴重な体験だと思う。


ひいひいおじいちゃん(高祖父・市左エ門)のことは微かに分かっていも、
ひいひいひいおじいちゃん(2代目清八)までは分からない。
できれば、ひいひいひいひいおじいちゃん(1代目清八)が何をしていたのかくらいは知りたい。

私も何回ひいひい言えばいいか分からない。
ルーツ探しは、思っていた以上に難しいようだ。



(石川編につづく)